ダノンシーマ(牡4・栗東・中内田充正厩舎)
キャリア11戦すべて3着以内、京都2戦2勝の堅実派は、理想的な調整過程を踏んできました。1週前追い切りは栗東CWコースで6ハロン83秒7、ラスト1ハロン11秒4。ここでしっかりと負荷をかけ、仕上げの土台を作っています。
最終追い切りは9月30日、中内田調教師自らが手綱を取り、栗東CWコースの重馬場で4ハロン56秒4-40秒1-12秒1を馬なりでマークしました。いつもは坂路で仕上げるのがこの馬のパターンですが、この日は雨の影響で坂路がタフな状態だったため、「疲れを残さないように」とCWコースを選択。調整程度の内容ながら、軽快なフットワークで気分良く駆け抜けました。
中内田調教師は「馬場が非常に重たかったので、半マイルだけ。調整程度で、気分良く走っていました」と説明。さらに「状態は良くなっていますよ」と手応えを口にしています。一部の追い切り評価では最高ランクの「S」評価を受けるなど、見た目の内容も高く評価されました。
前走の新潟記念は3着でしたが、福永助手は「前走でも上位2頭の3歳馬との着差はわずか。激しく雨が降って一気に馬場状態が悪化する厳しい条件の中でも、よく頑張ってくれました。在厩のまま調整を進めて、ダメージが残った様子はないです」とコメント。重賞で3戦連続3着と悔しい結果が続いていますが、4歳秋を迎えて充実期に突入しています。
1週前にしっかり負荷、最終は疲れを残さない軽め調整という、教科書通りの緩急をつけたメニュー構成です。調教師自らが跨って状態を確かめている点も、陣営の本気度を物語っています。待望の重賞初制覇に向けて、ぬかりのない仕上がりと言えるでしょう。
ディープモンスター(牡8・栗東・池江泰寿厩舎)
連覇を狙う昨年の覇者は、8歳とは思えない活気あふれる動きを見せました。1週前追い切りは浜中俊騎手が騎乗し、栗東CWコースの3頭併せで7ハロン96秒9、ラスト1ハロン11秒4。一杯に追われて中の馬に半馬身遅れ、外の馬に半馬身先着する内容でした。池江調教師は当時「馬場がふかふかのぶん、それを考えるとまずまずの追い切り」と評価しています。
最終追い切りは9月30日、栗東CWコースの重馬場で6ハロン83秒4-66秒5-51秒7-37秒2-11秒8を末強めでマーク。伸び伸びとした走りで、重馬場ながらラスト1ハロン11秒8という鋭い伸びを見せました。
池江調教師は「1週前はジョッキーが乗っていい動きをしてくれた。今週はこの先もあるので、微調整」と説明しつつ、「思ったより時計は出た」と好感触を語っています。「この先もある」という言葉には、この後に予定されているブリーダーズカップターフへの遠征を見据えた意図が感じられます。
注目すべきは、陣営が「いい頃のバロメーター」として挙げる行きっぷりの良さです。1週前の取材で池江調教師は「いい頃のバロメーターでもある抑えないと引っかかる感じが見られたし、いい状態だと思う」と話していました。8歳という年齢を感じさせない前進気勢は、状態の良さを示す何よりの証拠です。
海外遠征帰りについても「4カ月もあるので、遠征のダメージもないですよ」と不安を否定。1週前に騎手を乗せてしっかり負荷、最終は微調整という流れで、重馬場でも時計が出たことは高く評価できます。データ上は8歳馬の連対がないという壁がありますが、調教内容からは衰えは一切感じられません。
ヘデントール(牡5・美浦・木村哲也厩舎)
天皇賞(春)の勝ち馬は、調教内容に評価が分かれる結果となりました。1週前追い切りは美浦ウッドで長めから一杯に追われ、6ハロン79秒0をマーク。太田助手は「1週前は大きく動かしたかったので、長めから。帰厩当初は緩さがあったが、早い段階でグンと良くなってきた」と上昇を強調していました。
最終追い切りは9月30日、美浦ウッドの重馬場で、厩舎のパターン通り3頭併せの真ん中。強めに追われて6ハロン83秒3-67秒4-52秒6-38秒1-11秒5をマークしました。ただし直線では手応えで見劣り、外の2歳未勝利馬スターフラッシュに半馬身遅れ、内の4歳2勝クラスのフィールドノートとは併入。格下の馬に遅れる形となり、見た目には不満の残る内容でした。
太田助手は「モタモタするところはあったけど、重たい馬場が影響したのでしょう。日曜も馬場状態が悪くて大変そうだったし、そこは心配しなくていいと思う」と、重馬場に原因を求めています。日曜日の坂路でも4ハロン54秒7と時計を要しており、重い馬場は苦手とするタイプなのかもしれません。
背景にあるのは、右後肢の剥離骨折からの復帰という経緯です。今春は京都記念8着、天皇賞(春)5着と本来の力を示せず、1年以上勝利から遠ざかっています。太田助手は「競馬でスムーズにギアを上げていけるかどうかが、好走のカギになってきますね」とポイントを挙げました。
ラスト1ハロン11秒5という終いの数字自体は悪くありません。ただ、格下に手応えで見劣った事実は軽視できず、良馬場でどこまで変わるかが焦点です。当日の馬場状態にも注意が必要で、雨が残るようなら割り引きたいところです。
アクアヴァーナル(牝5・栗東・四位洋文厩舎)
9年ぶりの牝馬Vを目指す長距離の実力派は、週を追うごとに態勢を整えてきました。1週前追い切りは栗東CWコースで一杯に追われ、6ハロン84秒6、ラスト1ハロン11秒4をマークして併入しています。
最終追い切りは9月30日、松山弘平騎手が騎乗して栗東CWコースの重馬場を単走。6ハロン85秒9-69秒5-53秒1-38秒1-12秒1を馬なりでマークしました。時計的には平凡ですが、もともと稽古で派手な動きをしないタイプ。それでも脚取りはしっかりしており、1週前より動きが力強くなったと評価されています。
四位調教師は「馬場が悪いので、あんな感じでいいだろう。帰ってきたジョッキーの表情も晴れやかでしたからね」とコメント。さらに「放牧から帰ったときはいつもよりボケッとしていたが、週を追うごとに態勢は整ってきた。走り慣れている条件で京都もいい」と期待を寄せています。
夏は北海道のノーザンファームで休養に充て、帰厩当初は「休み明けという感じ」があったとのこと。1週前の取材では「エピファネイアの牝馬だけど、気性はおっとりしていて扱いやすい」とも話しており、手の掛からない性格が順調な調整につながっています。
前3走は3000メートル以上を使われていましたが、2400メートルでも【2-2-0-1】と好成績。1週前に一杯でしっかり負荷、最終は馬なり単走で状態維持という流れで、牝馬らしく仕上げすぎないよう配慮されています。派手さはないものの、陣営の言葉通り態勢は整ったと見ていいでしょう。斤量55キロの恩恵も大きく、実績馬相手に互角以上の戦いが期待できます。
ヴェルテンベルク(牡6・栗東・宮本博厩舎)
天皇賞(春)ハナ差2着の実力馬は、1週前追い切りで驚異的な時計を叩き出しました。新コンビの古川吉洋騎手を背に栗東CWコースで強めに追われ、自己ベストを更新する6ハロン78秒7、ラスト1ハロン11秒3の好時計をマーク。併せた馬と併入しました。
宮本調教師は「すごい時計が出た。乗ってくれた古川君も『いい感触』と」と驚きを隠さず、別の取材では「まさかこの時計とは」とも語っています。キングジョージ遠征後の帰国初戦ですが、「海外遠征もいい経験になったんじゃないかな」と、遠征が成長につながったと見ています。
最終追い切りは9月30日、栗東坂路の重馬場で助手が騎乗し、800メートル54秒3-39秒6-25秒8-13秒3を一杯に追ってマーク。オースミライトを0秒5先行して、0秒3先着しました。重馬場の坂路でラスト1ハロンは13秒3を要しましたが、これは馬場状態を考えれば仕方のないところ。併せ馬に先着した点は評価できます。
1週前にCWで自己ベスト、最終は坂路で一杯という、しっかり負荷をかけるメニューを消化しています。厩舎関係者からは「ガラッと良くなってきた」という声も聞かれ、状態面は明らかに上向きです。
天皇賞(春)では12番人気ながら豪快に追い込み、勝ち馬クロワデュノールとハナ差の2着に激走しました。京都外回りで見せたあの末脚が再現できれば、重賞初制覇の可能性は十分にあります。調教内容からは、今回のメンバーでも上位の仕上がりと言えます。
ファミリータイム(牡5・栗東・石坂公一厩舎)
同舞台の日経新春杯2着馬は、坂路中心で順調に調整されてきました。1週前追い切りは栗東坂路で併せ馬を行い、馬なりで4ハロン54秒3、ラスト1ハロン12秒2をマーク。オープン馬カルプスペルシュと併入しています。
最終追い切りは9月30日、栗東坂路の重馬場で800メートル56秒1-40秒4-26秒1-12秒9を末強めでマークしました。重馬場の坂路で全体時計は遅めですが、終いを強めに伸ばしてラスト1ハロンは12秒台にまとめています。
石坂調教師は「夏に強いタイプではないので、しっかり疲れを取った。ここまでは順調です」とコメント。夏場を無理せず休養に充て、秋に向けて体調を整えてきたことがうかがえます。
さらに注目すべきは距離への言及です。「距離は二千じゃ短いので、これくらいがいい」と、2400メートルがベストであることを明言しています。実際、今回と同じ京都芝2400メートルの日経新春杯では、逃げてクビ差の2着に粘っており、舞台適性は証明済みです。
前走の宝塚記念は最低人気ながら6着と健闘。宝塚記念組は京都大賞典で3着内率50%と最も好成績のローテーションで、データ面からも後押しがあります。
調教内容は派手さこそないものの、1週前に馬なりでオープン馬と互角、最終は終い重点と、無駄のない仕上げです。ゆったりと前めで運べれば簡単には止まらない粘り強さが持ち味で、人気薄なら狙ってみる価値は十分にあります。
ショウナンラプンタ(牡5・栗東・高野友和厩舎)
約1年ぶりの復帰戦となるGI好走馬は、坂路で入念に乗り込まれてきました。1週前追い切りは栗東坂路で一杯に追われ、4ハロン53秒4、ラスト1ハロン12秒5をマーク。休み明けとしては上々の時計で、しっかりと負荷をかけられています。
最終追い切りは9月30日、栗東坂路の重馬場で800メートル54秒1-39秒3-26秒0-13秒0を馬なりでマークしました。重馬場で馬なりのまま54秒台というのは、なかなかの好時計です。1週前に一杯で追った効果か、余力を残した走りを見せています。
高野調教師は「坂路中心だが、加減することなく乗り込めており、段々動きも良くなってきた。心肺機能の高い馬。舞台はいいと思う」とコメント。長期休養明けで心配されるのは息の持ちですが、調教師が「心肺機能の高い馬」と太鼓判を押している点は心強い材料です。
休養理由は脚部不安で、昨年の京都大賞典5着以来の実戦となります。それでも帰厩後は「加減することなく」乗り込めているとのことで、脚元の不安は解消されたと見ていいでしょう。大型馬ですが、坂路で入念に乗り込まれたことで、休み明けからいきなり動ける態勢が整いつつあります。
2024年秋以降は重賞7戦すべてで掲示板を確保し、2025年の天皇賞(春)では3着に好走した地力の持ち主です。CWでの長めの追い切りを行っていない点は気になりますが、坂路での時計は十分。実戦勘がどこまで戻っているかが鍵で、人気が落ちるようなら穴として狙ってみたい一頭です。
ミクニインスパイア(牡4・美浦・林徹厩舎)
成長著しい4歳の関東馬は、馬具の工夫を重ねながら調整を進めてきました。2週前追い切りではチークピーシズ、1週前追い切りではブリンカーを着用。集中力を高めるための試行錯誤が続いています。
最終追い切りは9月30日、美浦ウッドの重馬場で3頭併せの真ん中。折り合い良く運び、馬場の3分どころを回って直線へ。強めに追われ、右ムチ2発で5ハロン67秒2-51秒8-37秒4-11秒5をマークし、オープン馬ミアネーロと併入しました。今回はメンコ(覆面)のみでの追い切りでした。
林調教師は「もともと攻め馬が抜群に動くタイプではないので、これくらい動けていれば十分だと思います」と納得の表情。馬具については「あまり着けすぎてもだれてしまうので」と最終追い切りで外した意図を説明し、「最終的には明日まで考えますけど、レースでは今のところブリンカーを着けようかなと思っています」と話しています。
ブリンカーの着用は、気性面での集中力を高める狙いがあります。レースで初めて着用するとなれば、どのような変化が出るかは注目点です。良い方向に出れば一変の可能性もありますが、未知数な部分でもあります。
調教ではもともと目立つタイプではなく、重馬場で終い11秒5をマークしたことは評価できます。オープン馬と併入した点も悪くありません。4連勝でオープン入りし、重賞初挑戦の日経賞で2着と成長著しい4歳馬。前走の宝塚記念12着は初GIで重馬場にも苦戦した結果で、度外視できます。6年ぶりの関東馬の京都大賞典制覇に向けて、陣営は工夫を凝らしています。
マイネルエンペラー(牡6・栗東・清水久詞厩舎)
日経賞の勝ち馬で、オークス馬ユーバーレーベンの全弟は、休み明けを考慮したしっかりとした調整を積んできました。1週前追い切りの後、清水調教師は「時計的には十分。競馬場は選ばないタイプで、コース替わりは気にしていません」と話していました。
最終追い切りは9月30日、栗東CWコースの重馬場で3頭併せ。6ハロン84秒5-69秒4-54秒1-38秒1-11秒5を馬なりでマークし、シュガークンを0秒9追走して同入しました。重馬場で馬なりのままラスト1ハロン11秒5という鋭い伸びを見せた点は高く評価できます。
清水調教師は「休み明けなので3頭併せでしっかり。動きはいいです」とコメント。前走の宝塚記念10着以来の休み明けとなりますが、3頭併せでしっかりと負荷をかけ、それでいて馬なりで終い11秒5という余力のある内容は、状態の良さを示しています。
父ゴールドシップの産駒は京都の淀の坂を苦手とする傾向がありますが、本馬は先行して安定した競馬ができる「ゴールドシップ産駒らしくない」タイプ。清水調教師が「競馬場は選ばない」と話すように、京都コースでも好走を重ねています。
京都大賞典ではゴールドシップ産駒が3着3回と、人気薄での好走が目立つ血統でもあります。6歳という年齢は割引材料ですが、京都大賞典は6〜7歳の実績馬の好走も多いレースです。馬なりで鋭い伸びを見せた最終追い切りの内容から、人気を落とすようなら連下の穴として十分に押さえておきたい存在です。
ウエストナウ(牡5・栗東・寺島良厩舎)
1週前追い切りの動きで、今回のメンバー中最も目を引いたのがこの馬です。栗東CWコースで終い10秒8という驚異的な時計を記録し、追走した併せ馬にも先着。時計と動きの両面で、上位の評価を受けました。
最終追い切りは9月30日、横山典弘騎手が騎乗して栗東CWコースの重馬場で6ハロン85秒6-68秒7-53秒3-38秒0-11秒7を馬なりでマーク。シホノペルフェットを0秒3追走して同入しました。1週前にしっかり負荷をかけ、最終は馬なりで整える流れで、重馬場でも終いは11秒7にまとめています。
寺島調教師は「状態はいいと思います」と自信を見せ、「前走は開催最終週で、外差しが決まると思っていたが、前内が残る競馬になってしまった。小回り二千もやっぱり忙しいですね」と前走を分析。続けて「このレースはずっと使いたかった。京都芝2400メートルは使いたかった条件。夏を充電に充てて馬は良くなっている」と、満を持しての参戦であることを強調しました。
小回りの2000メートルでは忙しかった馬が、ゆったり運べる京都外回りの2400メートルに替わるのは明らかなプラス材料です。陣営が「ずっと使いたかった」と話すほど、この舞台への適性を見込んでいます。
1週前の終い10秒8は、今回の全出走予定馬の中でも際立つ数字です。追い切りの動きだけで言えば、メンバー屈指の仕上がりと言っても過言ではありません。重賞での実績は上位陣に劣りますが、条件好転と好調教が重なった今回は、大駆けの可能性を秘めた穴馬として注目したい一頭です。
まとめ
9月30日の最終追い切りは東西とも重馬場で、全体時計は参考程度にとどめ、1週前との比較と終いの伸びで評価しました。最も高く評価したいのは、1週前にしっかり負荷をかけ、最終は調教師自らが跨って軽快な動きを見せたダノンシーマ。一部で最高ランクの評価を受けた充実の仕上がりです。重馬場でラスト11秒8、「思ったより時計は出た」と池江調教師が語ったディープモンスター、1週前に自己ベストを更新したヴェルテンベルク、1週前に終い10秒8のウエストナウも好調教。マイネルエンペラーは馬なりで終い11秒5と余力十分でした。一方、ヘデントールは格下に手応えで見劣り、陣営は重馬場を理由に挙げるものの不安が残る内容。当日の馬場状態と合わせて慎重に判断したいところです。